インタビュー|サプライチェーンの持続可能性を可視化する

サステナブル経営は社員の意識を変え、若い世代を引き付ける~プラットフォーム登録企業の取り組み~

作成者: Admin|Oct 24, 2025 3:10:42 AM

水不足や自然災害多発に備える「自己処理型トイレ」

ローヤルエンジニアリングは2023年に設立した「サステナブル事業部」で、トイレの排水を再生利用できるシステムを開発し、このほど製品化した。地球温暖化による水不足や衛生環境の悪化、災害時のトイレの確保といった社会課題の解決を目的とした「自己処理型トイレ」=イラスト。すでに全国の自治体から問い合わせが相次いでいる。水登健介代表取締役が「この2年間の最大の成果」と強調するのは社員の意識の変化だ。「これまでゼネコン主導の開発しか手掛けたことがなく、自社開発を経験したことで受け身だった社員が自ら考え、行動するようになった」。自治体へトイレのPRをするにとどまらず、トイレをきっかけに地域によって異なる社会課題を聞き出し、次の開発につなげるようになった。「社員は自ら考え、行動することにワクワクしている」と水登氏。「社会課題を解決するサステナブル事業こそ、将来の主力事業にしていかなくてはならない」と強調する。

 

ボランティアなどを通じて社会とつながり、選ばれる企業になる

――SDGsの17の目標すべてに関わる取り組みをされています。

建設業はもともとお客様の想いをカタチにする仕事ですので、地域社会とのつながりがとても大切です。創業から色々な方とのご縁を大切にして、そのご縁が広がり、結果的に事業につながったり、企業として信用して頂けたりするようになっていきました。例えば地域の子ども食堂の運営を社員がお手伝いしたり、アジアの子供たちの教育などを支援する団体への寄付を続けたりしています。今年の夏には子ども食堂を利用するお子さんを招待して、自然体験会を開催しました。自己処理型トイレの開発で包括的連携協定を結んだ山形県西川町が受け入れてくださり、子供たちに良い体験をプレゼントできました。このように事業から社会貢献へ、社会貢献から事業へと、つながって広がっていくことがサステナブル経営の魅力だと思います」

 

――サステナブル経営にはどんな効果があると感じていますか。

「多様性を重んじる『全社員参加型の経営』という意味では、様々なバックグランドを持つ社員の声が組織を強くしています。外国籍の社員からは風習や文化の違いを学びます。当社では元自衛官の再就職を受け入れています。自衛官の方々は様々な専門知識を持ち、自己処理型トイレも元自衛官の化学の専門知識があったから製品化できました。リスク対応力も高く、他の社員にもいい刺激になっています」

「企業として社会の課題解決に貢献することは使命ですが、巡り巡って当社の成長そのものにつながると感じています。建設業は深刻な人手不足です。当社だけでなく建設関連企業の多くは、社会貢献活動に熱心に取り組んでいますが、それを前面に出す努力を怠ってきたからだと私は考えています。当社もそうでした。今の若い世代は純粋に、SDGsやサステナビリティの取り組みを評価してくれます。実際に当社が創業以来取り組んできた社会貢献活動などをSDGsの17のゴールと紐づけてホームページに公表すると、社員の意識も変わり、採用活動でも「サステナブル事業で働きたい」と応募する学生が増えました。ボランティア活動でご縁のあった小学生などが将来、当社で働きたいと言ってくれれば最高です。サステナブル経営とは、規模の小さい企業が社会とつながりながら持続的に成長していくうえで、不可欠な取り組みだと思います」

 

株式会社ローヤルエンジニアリング

〈本社〉東京都豊島区西池袋4-24-4

〈代表者〉代表取締役 水登健介

〈従業員数〉約90

〈事業概要〉建物の空調設備、給排水衛生設備、防災設備などの設計・施工管理。エアコンや水槽、排水管の洗浄、建築設備の保守・点検管理など、幅広い設備サービスを展開している。